ちくのうに関しての基本情報
ちくのうとは何ですか?どうしてなるのですか?
細菌やウィルスの感染(鼻かぜ)からおきます。鼻かぜが悪化し副鼻腔に炎症が起こり鼻水、膿が溜る病気です。「副鼻腔炎」とも言います。
※早めの治療が予防になります。
お子さんの場合は、副鼻腔が十分な発育をしていなかったり、アデノイドが大きいためちくのうになりやすく、繰り返しやすいです。
アレルギー性鼻炎も関係しているとされ、ちくのうになりやすかったり、ちくのうになっても治りにくいとされています。
他に虫歯やカビ(真菌)から起きることもあります。
副鼻腔とは、どこにあるのですか?
鼻、おでこ、ほっぺの奥にある空洞です。
どういう症状ですか?
黄色の粘調な鼻水・後鼻漏・鼻づまり、頭痛、嗅覚異常、頬の痛み、鼻が臭う、鼻血、せき(10日以上続く)、痰、口臭、いびき・睡眠障害の原因になることがあります。
※なかなか治らない頭痛・せき・口臭は、ちくのうのことがあります。
鼻づまり・睡眠障害は、注意力散漫、思考力・記憶力の低下、学業成績の低下につながることがあります。
ちくのうについて
ちくのうにはいろんな種類があるのですか?
炎症の続く長さによって分かれます。
- 急性:カゼをひいてから急に起きる場合。
- 慢性:急性が治りきらなくて3ヶ月以上たった場合。
ちくのうの検査は?
- 鼻の診察(鼻の診察だけで、他の検査が不要のこともあります。)
- 鼻のレントゲン写真やファイバーです。(ちくのうの治癒の判定にも行ないます。)
※総合病院ではCTを行なうこともあります。 - 細菌検査(肺炎球菌、インフルエンザ菌などを調べます。)
- アレルギーの検査(採血。免疫などを調べます。)
ちくのうの治療は?
まずはお薬です。
- 抗生剤・消炎剤の内服、点鼻薬です。
- アレルギー性鼻炎がある場合、抗アレルギー剤も併用します。
慢性の場合や急性が治りきらない場合は
引き続き抗生剤クラリスを少ない量で1~3ヶ月間(治るまで)飲みます。
※抗生物質を長い間飲むので抵抗があるかもしれませんが1回に飲む量は少なくしてあります。
病院で鼻水を吸引しネブライザーをすることです。
ちくのうの治療にはどのようなものがありますか?
1.鼻水をためない(当院で鼻の吸引をやられる事をお勧め致します)
2.飲み薬や吸入(ネブライザー)
- ちくのうのみ(黄色の鼻汁:びじゅう)の場合、抗菌薬が有効です。
- 飲む期間は症状により異なります。
- アレルギー性鼻炎(透明な鼻水や鼻粘膜の腫れ)を合併されている患者さんが多いですので、その場合は抗アレルギー薬を加えた方が効果的です。
3.重症の場合は手術することもあります(中学生以上)。
尚「ネブライザー」とは機器を使って、薬を霧状にして直接痛んでいる鼻やのどの粘膜にあてる治療法です。粘膜の腫れをおさえたり、鼻水を外に出したりする効果があります。
どのくらいで治るのですか?
炎症の程度によって変わってきます。
- 急性なら1~2週間で治ります。
- 慢性なら2~6ヶ月間かかることが多いです。
※適時、レントゲン撮影で治ったかを判定します。 - 小学生以下のお子さんの場合は、まずお薬で治ります。
手術をすることはありません。 - 大人の場合は、3~6ヶ月間お薬の治療をしても完治しなければ手術になります。
- 鼻茸が多くてお薬での治癒が難しそうな場合は、初めから手術をお勧めします。
※手術の場合は総合病院へ紹介させていただきます。
治りにくい場合は?
- ちくのうがひどい場合、鼻茸がある場合。
- アレルギー性鼻炎がひどい場合、喘息の既往がある場合。
※一度治っても、ちくのうを繰り返すことも多いです。 - 虫歯から、ちくのうになっている場合。
※同時に虫歯の治療をしないと治りにくいです。 - 真菌から、ちくのうになっている場合。
※お薬が効きにくいです。 - 嗅覚異常は、他の症状に比べて改善しにくいです。
※特に発症してから3ヶ月以上経っている場合は完全には治りにくいです。
子どもの鼻づまり
鼻のつけ根をあたためる
- 鼻づまりで苦しい時は、鼻のつけ根を温めると、とおりが良くなり楽になります。
子どもが嫌がらなければ、お湯にひたしてしぼったタオルを、鼻にあててあげるとタオルからの蒸気が鼻から入り、楽になります。 - コップにお湯を入れ、湯気を鼻から吸わせても良いでしょう。(やけどしない様、注意して下さい)
※お風呂に入っている時のような状態と同じです。
室内を加湿する
- 空気が乾燥すると、粘膜も乾いて鼻づまりがおきやすくなります。
- 湿度は50%~60%に保ちましょう。
鼻づまりがひどい時は、抱っこやおんぶ
- 寝ている姿勢より、体を起こした姿勢のほうが、鼻のとおりがよくなります。
余裕があれば抱っこやおんぶで楽な姿勢をとらせてあげましょう。 - 寝かせる時は、子どもの上半身が少し斜めに持ち上がるように、布団の下に毛布やバスタオルをたたんで入れてあげましょう。
子どもの鼻血
頻度
小児の鼻出血は、5歳までに少なくとも30%が起こすと言われ、日常よく遭遇する疾患です。発症のピークは3~8歳です。
出る場所
90%以上が鼻の入り口付近の壁(キーゼルバッハ部位と言われます)から出ています。
ここは細い血管が多く集まっており鼻をかむ、こする、いじる、ほじると傷つきやすい場所です。
原因
大体は鼻の粘膜の血管が傷ついて起きます。お子さんの場合は、鼻をかむ、こする、いじる、ほじるといった刺激で傷つきます。
そして出血した場合にカサブタがつき、それが気になって鼻を触ってしまい鼻血を繰り返します。
鼻血を繰り返す場合は、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(ちく膿)があることが多くありますので、それに対する治療も必要です。炎症で鼻の粘膜がただれた状態になり、傷つきやすく鼻血が出やすくなります。
※稀に血が止まりにくい病気(白血病、血友病、紫斑病など)で起きることがあります。疑わしい場合は総合病院へご紹介します。
注意点
- 血圧が上がると、また出血しやすくなります。
本日は激しい運動、お風呂はひかえて下さい。短時間のシャワー、洗髪ならOKです。 - 鼻をさわると、また出血しやすくなります。
強く鼻をかまないで下さい。軽くかむのならいいです。 - お薬を用法どおりに内服・使用して下さい。
もし、再び出血した場合は
- 鼻の穴にティッシュをそっと詰めて、小鼻を外から親指と人差し指で強くつまんで下さい。
5~10分間の圧迫で止まることが多いです。 - 姿勢は、座らせて下を向かせて下さい。
※上向きはよくありません。
止血してから1週間後はカサブタがとれやすくなるころなので、再び出血しやすくなります。